秉田(ひきた)神社(桜井市 白河)

   桜井市白河(しらが)の西方に鎮座する旧指定村社。 巻向山の南東麓に位置し『延喜式』神名帳の大和国城上郡にもみえる曳田(ひきた)神社にあてられています。かつては白山神社と呼ばれていたようです。祭神は、大己貴命、高龗神、豊受比売命ですが高龗神と豊受比売命の2柱は元々は明治42年に合祀した葛神社と稲荷社の祭神でした。 大己貴命は大国主命であり、大物主神と同一視される神で、三輪氏の祖で三輪君氏の同族に、引田君氏があり、主祭神の比定に影響したものと思われます。

 


 古事記下巻に、「ひきた」に関わるこんな話があります。

のちに雄略天皇となった若建命は三輪川に行幸した時に、河辺で衣を洗う童女の姿に心を奪われその童女に「お前は誰の子か」と尋ねると、「私の名は引田部赤猪子といいます」と答えた。今に宮中に召すので誰にも嫁がずにいるようにと言われた。赤猪子は、天皇の命を待ち、待ち続け八十年経った。赤猪子は、待ち続けた思いだけでも伝えたいと思い、結納の品々を携え天皇を訪ねた。しかし天皇は、先の命を忘れていたが大いに驚き、「自分は先の事をすっかり忘れていた。しかしお前は志を守り、命を待って、盛りの年を過ごしてしまった。これは甚だ悲しいことだ」と言って、内心は結婚したいと思ったが、あまりにも老いてしまったことに憚って、結婚することは出来ず、御歌と多くの品物を老女に賜って、返し遣わした。 

追)白河神社の世話人の方が秉田(ひきた)神社を訪問される皆さんの記念になればとの思いでこの度、記念スタンプを作成されました。現地訪問時は是非どうぞ(2019.4.17)


白河の伝統行事「けいちん」

毎年2月11日に秉田(ひきた)神社で行われる「けいちん」は、境内で、梅の枝で作った枠に「鬼」と書いた半紙を張り付け、それを新しい梅の枝で作った弓矢で射ることで厄除けを祈る行事です。