初瀬川(泊瀬川)を挟み長谷寺の対岸の與喜山の山麓にある旧村社です。見所はこの神社にくる途中の石段から見える長谷寺の全景で,特に桜や紅葉のシーズンはおすすめです。神社の境内にそびえ立つ銀杏の巨木も見もので、県の天然記念物に指定されており幹回りがおよそ7.2m、高さが40mあり、そそり立つその姿は壮観そのものです。
この神社は社伝によると天暦年間(947~957年)に與喜山に菅原道真公を祀った時、與喜山は天照大神が降臨した地なので、弟神の素戔雄の霊も鎮めなければならないとの事で、この地に社殿をかまえたと言われています。その後、祇園信仰の高まりから明治維新までは宮寺を置き、牛頭天王を祀り、「ごってらさん」の俗称で呼ばれ親しまれていました。
本居宣長の菅笠日記には「このやゝおくまりたるところに、家隆の二位の塔とて、石の十三重なるあり。こはやゝふるくみゆ。そこに大きな杉の、二またなるもたてり。又牛頭天王の社、そのかたわらに、苔の下水といふもあり。こゝまではみな、山のかたそはにて、川にちかきとこ所也」とあり銀杏の木についてはふれていませんが、江戸中期のこの社の様子をうかがい知ることができます。